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24.決意
「この精霊使いって何だめん?」
めんちゃんが渡されたギルド会員証を見て尋ねる。
「精霊を召喚できるんですよ」
ギルドの受付のお姉さんは丁寧に教えてくれる。きっと初心者が多いのだろう。
「妖精じゃないのか」
「妖精はあなたでしょ。ところであなたは何の妖精なのかしら」
「パンツの妖精に決まっているだろう」
「筋肉だるまの妖精かと思っていたわ。まあ、めんちゃんさんはとにかく精霊を呼んでみたらいいと思いますわ」
「分かっためん! めん! 精霊よ来たれ~!」
めんちゃんがそう叫ぶと、ポンと白い煙がめんちゃんの手から上がった。
「けほ、けほ、あー、ようやく出られた……」
めんちゃんの掌に乗るようにして現れたのは、小さいコトネだった。
「ったく、どこよここ……」
コトネの背中には羽が生えている。
「あらー、これは可愛らしい精霊ですわね」
お姉さんはコトネを見て微笑む。
「妖精じゃないのか」
「妖精はあなたでしょ。えっと何の妖精でしたっけ」
「パンツの妖精に決まっているだろう」
「ああ、そうでした。いたずら好きの変態妖精でしたね」
お姉さんはにこにこ笑っている。
「あ、パンツマン!! って、何かあんたデかくない?!」
「いや、お前が小さいんだ」
「は、私?! えっ、どうなってんのこれ?!」
いつも冷静なコトネが慌てているのを見るのは新鮮だった。コトネは辺りを見回したり自分の羽をいじってみたりめんちゃんを訝しげに見たりしている。
「まあ、落ち着け、コトネ」
スッ。
「いやあああっ、変態ですわー!! 討伐依頼!!」
ー1時間後!ー
私達は命からがらギルドから逃げ出してきた。
「どういうことだ……コトネを落ち着かせようとパンツを脱いだだけなのに」
「私をお前と一緒にすんな」
「こ、この世界では人の命が軽すぎる。すぐに剣や槍が出てくるなんて……」
日本にいたときはパトカーに追い回されるだけですんだが、ここでは武器で攻撃される。
「くっ、パンツも気軽に脱げないこんな世界では生きていけない」
「気軽には脱ぐなよ」
コトネは冷静だ。
「トイレ行くときどうするんだ?!」
「そこは脱いでいいでしょ」
コトネはやはり冷静だ。
「何が違うというんだ……」
「お前の脱衣は排泄のためじゃないだろ。幼児でも分かるわよ」
生きづらい。
私は切に願った。
「早く日本に戻りたい……!」
「日本を脱衣大国みたいに言うな」
魔王を倒さなければ。私は決意を固めた。
続くっ!
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