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3.とても寒い日
私はパンツマン。
ちなみに今は全裸だ。
話を戻そう。今日はとても寒い。
だが、家の中に引きこもっているわけにもいかない。私はヒーロー。皆が私を待っているのだから!
だから私は今日のパンツを選んでいる。
とびきり暖かいやつだ。
そうだ、毛糸のパンツなんて暖かいんじゃないか。これは私が夜なべして編んだ一品ものだからな。よし、これを履いてパトロールだ。
ガチャ。段ボール製のドアを開ける。
うん、やはり外は冷えるな!
けれど大丈夫! 私にはこの毛糸のパンツがある!
だが、その時の私は気付いていなかった。
毛糸のパンツのほつれた部分が、木の枝に引っ掛かっていたことを……。
しゅるしゅるしゅる……。
うん。今日も街は平和だ。
「きゃーっ!」
むむ、誰かの悲鳴が!
しゅるしゅるしゅる……。
「うわーっ!」
あっちでも?!
周囲を見渡すと、周囲の人間達が私を見て叫んでいることに気が付いた。
「あっ、毛糸のパンツが!」
なんということだ! 毛糸のパンツがほとんどなくなっているじゃないか!
歩いてきた道を見ると、1本の長い毛糸がずっと伸びていた。
もしかして、家からずっと……? これ以上、履いていたらパンツが消えてしまう!
スッ。
辺りの悲鳴がより大きくなった。
そして、聞き慣れたサイレンの音。
ピーポーピーポー。
ー1時間後!ー
「刑事さん、今日のは不可抗力です!」
「いや最後『スッ』って脱いでただろうが!」
「こ、これ以上のパンツの崩壊を防ぐべく仕方なく……!」
「来た道を戻ればいいんだよ!! いや、既にアウトだったけどね?! そもそも存在自体がややアウトだけどねっ?!」
「刑事さん、それはパンツマン差別です! パンツを履く権利があるように、パンツを脱ぐ権利だってあっていい……!!」
「公然猥褻罪だから」
続くっ!
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