31.パンツノート②

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31.パンツノート②

 パンツノートか。妙なものを拾ったな。お陰で大変な目に遭ったが、これを何とか活かせないだろうか。  名前を書かれた者ではなく、書いた者のパンツが脱げる。使いようによっては活かせるのではないだろうか。 「ほたてぇー! 放せぇぇ!!」  む、あれはブラジャーマンか。相変わらずホタテの貝殻をブラジャーにしようとして奮闘しているようだ。  だが、どうやら、誤ってホタテに股間を挟まれているようだ。とても痛そうだ。  そうだ。奴で試してみよう。 「おい、ブラジャーマン!」 「むっ、パンツマンか! ここであったが百年目! だが、こう見えて今は手が放せない! 勝負はまた今度な!」  放せないのはどう見てもホタテだろう。 「サインをくれないか」  そう言って私はパンツノートとペンをブラジャーマンに差し出した。 「何だと……お前が俺にサインを求めるだと?!」 「ああ。お前のサインが欲しい!」 「何ということだ……俺も偉くなったってことだな痛い痛い痛いホタテー!!!」  ブラジャーマンは泣きながらノートを手に取った。 「本名で頼む」 「承知した。佐藤郁夫……と」  そんな名前だったのか。  パカッ。  ピーポーピーポー。 ー1時間後!ー  私は川原でホタテを焼きながらパンツノートを眺めていた。 「こんなノートでも役に立つことがあるんだな」 「めん!」 「おっとめんちゃん、熱いから気を付けてな」 「めーん!」  続くっ!
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