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妻が自殺した日。平穏だった僕の日常が一変した。
転勤の多い銀行員としての僕の生活を妻は理解した上で結婚したはずだった。
「引っ越したくない、私の友達はここにいるの」
妻の主張を僕は一笑した。
「住む場所が変われば失う友達だろ」
妻は押し黙って、僕の転勤について来た。
僕たちは子供に恵まれなかった。
でも、夫婦としての義務は果たして来たはずだ。
「あなた浮気しているでしょ」
暇人の妻の妄想にはウンザリした。
「あいにく、仕事で忙しく暇ではないんでね」
専業主婦で夫の僕に依存した生活をしているのに、余計な事ばかり考える彼女に呆れた。
「母が転んで大怪我をしたみたいなの。実家にしばらく帰らせて?」
僕は妻の我儘に呆れた。
転んで大怪我とは、実家に帰りたい言い訳だろう。
僕の金で暮らしているのに我儘ばかり言う妻と結婚した事を後悔した。
「大怪我か⋯⋯死んだ訳ではないのだろ?」
僕は妻の帰省を許さなかった。
妻はその日に自殺し、妻の母親もその1週間後に亡くなった。
気が狂いそうな程、頭はパニック状態になった。
何がいけなかったかは分からなかった僕は手に包丁を握った。
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