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車で5分ほどの距離に、深夜でも営業しているファミリーレストランがあることをスマホで知った二人は、それぞれの車で向かうことにした。
15分後には、注文したドリンクバーも既に手元に運んできていて、ソファに向かい合って腰を下ろしていた。二人は共にホットコーヒーを選んでいた。
絵麻はその15分の間に、生田に聞くことと、自分が聞かれて答えることになるであろう内容を整理していた。
「あの女性は、早苗さんと仰ったでしょうか、早苗さんは、もしかしたら全くの他人というわけでもないかもしれません」
絵麻が先に口を開いた。
「どういうことですか?」
口元へと持っていったカップに口をつけず、生田は反応した。
絵麻は、ツイキャスを視聴していたこと、Xでのメールのやり取りのことを生田に説明した。
「そういうことですか」
生田はそう言うと、窓の方へ視線をそらせた。絵麻の説明について考え込んででもいるのか数十秒黙っていたが、やがて言葉を継いだ。
「早苗さんは、スマホを持ってはいるけど、智也先輩、ご主人ですが、ご主人以外との連絡には使うことができないと仰っていましたが」
「はい、それも聞いています。だから見つからないようにへそくりを貯めて中古のタブレットを買い、旦那さんのいない時にこっそり使っていたみたいなんです。家族や友人とは連絡を取れないけどSNSならできるって。それで私とメールをしていたのですが、誰にも話せないからなのか、旦那さんの愚痴や、職場に気になる人がいるなどのプライベートな話もしてくれていて、それで声だけでなく内容からも推測してみたのです」
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