早苗と絵麻

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 早苗は夢を見ていた。  ずっと見続けている。  夢の中での早苗は、子爵の娘サンドリーヌ・カンブルランとして生きていた。  エマ・ヴァロワという友人と親しく語り合い、舞踏会に招かれれば必ずアラン・ベルタン侯爵とダンスをする、16歳の少女として生きていた。  引っ込み思案で他人を優先し、利他的で優しい性格はそのままだが、未来に希望を持つ16歳らしく、快活で自己主張のできる娘だった。  これからの人生に向けて期待で胸を膨らませ、毎日を楽しく、幸せに生きているのだった。
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