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1時間後、ビールも3缶目が空になりかけていたので頃合いだと判断し、風呂を沸かした。
正解だったようで、湯沸かし完了の音色が流れると、智也は無言で立ち上がり、風呂場へと向かった。
ドアの閉まる音を聞いてから、急いで寝室へ向かい、タブレットを取り出してEMA522にメールをした。
EMA522[私も、夜はスマホを開いてる時間がないから気にしないで~! 主婦は昼間にこそ自由があるんだよね]
EMA522の文章には、親しみやすさと気遣いに溢れている。他人と会話をしたりメールを送るときは、自分に不備がないか不安で緊張してしまう早苗だが、EMA522とのメールは、送ってよかったんだという安心感が得られるから、不安よりも楽しさが勝っていた。
何往復もメールを送り合わないうちに、風呂場から出る音が聞こえてきた。早苗は慎重にタブレットを隠し、着替えを持ってリビングへ戻った。
「先に寝るわ」
出しておいたソーダを飲み干した智也は、早苗と入れ違いに寝室へと入った。
自分が不在のときに寝室へ入られるのは少し不安だが、酔っているし、注意深く隠してあるから大丈夫だろう。
EMA522とのやり取りを思い返し、口元をニヤケさせながら風呂場へ向かった。
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