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 ……あれ?  人になれたんじゃないの?  なんでまた犬? 「ちょっと待て、キャル」  ジタバタ足を動かすキャルをルークが止める。  ルークは急いで剣を鞘に収めると、シーツをはずしキャルだけを抱き直した。 「どうしたら人のままでいられるんだ?」 「キャウキャウ」  私が知りたいよ。 「月明かりで人の姿にはなるけどな」 「キャウ?」  月明かり?  なんで?  キュッと首を傾げるキャルにルークは顔を寄せた。 「キャウ!」  近い!  イケメンが近い! 「なぁ、キャル。俺と結婚しよう」 「キャウ?」 「ルーク、おまえ何を言って!」  驚くチャーリーを横目にルークは犬のキャルにキスをする。    真っ赤な顔のキャルが人の姿に戻るのはこの3秒後。 「キスで戻るなら、いくらでもしてやる」  たとえ3分で犬に戻ってしまっても。  いつか完全な人になれるように、言葉も話せる方法を探してみせるとルークは張り切る。 「キャウキャウキャウ」  女神様、王子のキスで一瞬だけ戻るなんてベタな展開はいらないです!  だから早く人に戻して〜!  瘴気もよくわからないし、あの派手な女の人はまた来そうだし、犬の言葉はわからなかったし。  ルークはイケメンすぎるし。  なんで私がこんな目に! 『辺境伯はお犬様を溺愛中!』  キャルが人の姿に戻れるその日まで――。    END 【あとがき】 多くの作品の中から見つけてくださってありがとうございます。 転生聖女ヒロイン(ただし犬)というとんでもない設定でしたが、最後までご愛読ありがとうございました。 本作品は長編連載を想定した読み切り書き下ろし作品のため、キャルは人に戻れないままで完結です。 いつか再びお目にかかることがありましたら幸いです。
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