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11話 ア"ア"ア"ア"
木造建て一軒家の屋根裏に何かが潜んでいる。
「ア"ア"ア"ア"」
何やら呻めき声がするのである。
その時、私はネズミやネコかなんかの動物かと思っていた。
「ア"ア"ア"ア"」
呻めき声は日に日に増して大きくなる一歩だった。
それを聴くたびにストレスが溜まっていく方だった。
「ア"ア“ア"ア"」
私の自宅は随分と古い木造の建物であり、昭和の最後の年に建てられた物である。
そのため梅雨入りなるとしょっちゅう雨漏りするのである。
そして雨漏りするとあの呻めき声がするのである。
「ア“ア“ア“ア"」
その呻めき声は物心ついた時にあるが最近音が大きくなっている。
お父さんやお母さんにも言ったがどうやら私だけ聴こえるみたいだった。
「ア“ア"ア"ア"」
今日もあの不快な呻めき声が漏れるが今日は違っていた。
「ぷしゅるるるるる!!!!」
飼い猫チケが唸り声を出していた。
「ア"ア"ア"ア"」
その唸り声を対応するかのように呻めき声も張り上げるのだ。
そしてチケはそのまま車庫の外に出る。
チケは放し飼いしており、いつでも出られるようにしていた。
「ア“ア“ア“ア"」
その呻めき声のよそに屋根裏につたる足音がする。
おそらく、チケだがどうやらその呻めき声の元に向かっているようだ。
「うみゃう!!」
「ア」
どうやらチケは仕留めたようだ。
チケが仕留めた後は呻めき声は無くなった。
おそらくネズミかなんかだっただろうがそんな悪いモノ食べてお腹壊さないか心配だった。
2.
「うみゃう!!」
チケは野良猫の野生でありながらよく自慢気に獲物を取って見せるので私は出さないように追い出す。
そこにチケはポロと咥えたモノが落ちる。
ーーそれは小さなヒトの片腕だったから。
そしてチケは咥えてるモノは……。
「ア"ア“ア"ア"」
私は先程の似た呻めき声を出しながらバリバリと咀嚼音出しながら喰らうチケを見ていた。
3.
その怪談を聞いた後、帰宅する私。
私の家も木造建ての一軒家であり築30年は経過していた。
呻めき声はしないが誰かの気配を感じることはある。
そして案の定、まさか屋根裏に潜んでいたよ。
ーー知らないおばあさんがね。
幽霊でもなく普通の人間である。
発覚したのは、屋根裏が老朽化してミシミシと言いながらバリッと落ちたから。
そのおばあさんは私たち家族、友人、知人、近所の人も知らない赤の他人だった。
そのおばあさんはホームレスでありいつの間にか定住したようだった。
おばあさんも悪いがうちの家族はいい加減でありよく冷蔵庫のモノや風呂が勝手に使用されていたり、紛失していたからいい加減気づけよと思う私たちだった。
そのおばあさんは腰打ちしただけでそのまま警察に連行した。
とんだ災難だったがこれ以来監視カメラを自宅先につけるようになった。
その監視カメラの映像を毎日見ているが幽霊やおばあさんらしき人物が映っていなくてがっかりした家族みんなはサイコパスだろうとふと思った。
ア"ア"ア"ア" 完
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