13話 逆さまの男

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13話 逆さまの男

 私の背後に青白い逆さまの男が写っていた。  それは修学旅行で撮影した写真にあった。  その青白い男は見覚えがなかった。  当然ながらお祓いしたが気味が悪いと思った。  しかも逆さまの姿だったからね。  でも、その理由がわかるの。  それは……。 「おはよう梨香」 「おはよう明菜」  私はその逆さの男から頭の脳裏から離れなかった。  ずっと私についてるモノだと思っていたから。  怖くてこわくてどうしようもない時に彼女が助けてくれる。 「どうしたの?あなた最近寝不足?」 「あ、うん……アレが気になっていて」  すると頼りになる彼女は言った。 「なら、あたしに任せなさい。私はお祓いの心得があるからね」 「うん。ありがとう幸江さん」  彼女自身霊能者だったから、幽霊の取り扱いに難なくできたから。  でも、まさかあんな目に遭うなんて……。  2. 「いらっしゃい。さぁ入って」 「……お邪魔します」  彼女幸江は高層マンション自室に住んでいた。  幸江の両親はお金持ちだったから。  そして幸江はプロマイドカメラを手にしていた。 「じゃあ撮ってみましょう」 「うん。お願いします」  幸江は私をベランダの窓から立たさせてカメラのシャッターを切った。 「ああああああああ」  同時期にベランダの外から男性の声が漏れた。 「なになに!?今のは」  私はベランダの外に出て確認するとそこにはーー、  ーー地面に落下しただろう男性の遺体らしきあった。 「……明菜これ」  その時幸江が恐る恐る私に先程、撮影した写真を見せにきた。 「こ、これ!?」  その私の背後に先程落下した逆さまの男がはっきりと写っていた。  しかも、その男は私を見てずっとにやけていたから……。  3. 「という怪談ね」  みんなゾクッと怯えているがあんなモノは大したことはない。 「ねー?紀伊羅。さっきから平然としてるね」 「あんなもんはどーてことないから」  そう、私は平気だな。 「ふふふ。強がりみせてるのかしらね」  八木楓さんはそうおっしゃるけどね。でも私にはーー。 「ひゃああんこわいん」 「部長の方が怖いですよガタガタ立てないでくださいね」  みんなは気づいてないだろうな。 「どうしましたか?早くお掃除しましょう」  楓さんは窓カーテンを全開するとそこにーー、  逆さまの髪が垂れる長髪の女性が宙ぶらりんと笑っているから。  だから、私は窓カーテンを開ける時は誰かに押し付けている。  そいつはいつも部室に宙ぶらりんしていて私をずっと見て笑っているから。  この部室だけでなく、私の自宅周辺にも当たり前のように逆さまの女みたいなモノがウヨウヨいたから。  その怖さには慣れていた。  逆さまの男 完
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