02話 窓カーテン

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02話 窓カーテン

203X年4月某日の頃。  寝静まる晩にシャー、シャー、と引く音で目を覚ましてしまうの。その音はなんだろうと私は周囲を確認すると何もなかったから、そのままぐっすりとまた寝るの。そしてまたシャー、シャー、と音がするからもしかして窓のカーテンを引く音がするのかと思ったけど引いた形跡がなかったからそのまま寝過ごしたの。  次の早朝に起きて眠気を覚ましてうーんとお日様を浴びようと窓カーテンを開けるとそこにべったりと大人の人間の影のような黒垢がガラス窓に貼り付いていたから……。 「以上で私の怪談は終わり」  私は真っ暗の部屋の中に明かりを灯すロウソクの火を消した。  そうすることで彼女が現れると聞いて私たち怪談同好会の部員は怪談をひとつ披露するごとにロウソクの火を消していた。  今ので最後のロウソクの火だったから彼女が現れると信じていた。  彼女とは〇〇。  昔、怪談を披露して実際に呪われて亡くなった女子生徒がいて、その時に生前白粉を身につけた彼女が怪談を求めて現れるという噂もあったから。  私たちはその彼女を一目で見たいと願って怪談を披露してるが何も起きなかった。 「もしかして怪異談の方がよかったかしら?」  海部部長はそうおっしゃるが対して変わらない気もする。  この元号が霊和時代に石山県内では幽霊やオカルトが当たり前となったとなった設定のもとで作られた怪異談が流行っていた。しかし、ある日の境にオカルトや幽霊が忽然と無くなり次第に認識も徐々に薄れていったのだ。  そんな昔を懐かしむように怪異談を披露する方もいるが怖さも半減なので普通の怖い話や怪談が流行っていたのである。  そんな怪談に曰く付きがあり、なんでも石山県に伝聞する怪談を披露すると呪われるらしいと噂を聞いていたのだ。その先鋒にこの昔の生徒である〇〇が怪談を披露すると翌日の早朝に死んだらしい。それ以来石山県内で怪談を披露すると彼女が現れるらしいが……。 「そろそろお開きしましょうか」  1時間経過しても何も起きなかったので私たち部員は使用した物を片付けに入る。  そんな時に私は部屋に敷いた窓カーテンを開けるとそこにーー、  女子生徒がガラス窓の目の前に立っていた……なんてモノは存在しない。  もしかしたらそんな感じはするだろうなーと期待しつつもあったがそれらしきもなく私は部屋の窓カーテンを全開した後、部屋の中の清掃するのであった。  2. 「ただいま」  帰宅した私は渇いた喉を潤そうと冷蔵庫からスポーツドリンクのペットボトルを取り出して一気に飲み干す。  家には母親と飼い三毛猫のメスチコ一匹がいた。  母親はその時居間で掃除機をかけていてその嫌な音を嫌うチコは洋間で避難していた。  喉を潤した私はそのまま2階の部屋に戻る最中にシャーと窓カーテンを引く音が聞こえた。  家の中には母親とチコしかいないはずであった。  父親は1ヶ月の出張先に出払っておりいなかった。  私は少し気になり早々と部屋の中に入る。  部屋に入るといつも見慣れたものである。  部屋に飾ってある声優アイドルスターポスターや推しアニメのぬいぐるみ人形やグッズが溢れていた。  しかし、変わったといえば私の部屋の南窓カーテンが開いていたところだろう。  もしかして母親が私の部屋に掃除機をかける時、窓のカーテンを開けたのだろうと私は窓カーテンを閉めてカバンの荷物整理中にシャーと音がした。  私は周囲を確認すると今度は別の東窓カーテンから開けられていた。  私は少し戸惑いながらもおそるおそる窓カーテンを閉めると今度は再び南窓カーテンが開けられるのである。  私は恐怖一心なりながらもその窓カーテンを閉める前に窓ガラスを開けて外の様子を確認するがそれらしき人や動物さえもいなかった。  そして無造作に別のカーテンが閉められる。  私は思った。  この部屋の中にナニカかが潜んでいると……。 「誰?だれなの!?だれかいるの?」  私は誰もいない部屋に呼びかけるのだ。  人さえであって欲しいと切実に願うどころだがそうではなさそうに見える。  私はどこかで呼びかけて不安を払拭したかったから。  その時、急に停電がなって私の部屋が少し真っ暗になる。  窓カーテンガラス窓越しからドンドンとノックするのだ。  もしかして母親だろうかと思えばわざわざこんな場所まで訪れるのだろうか?もしかしてあれは……。  その窓を確認したが誰もいなかった。  私は部屋から脱出して一階の居間に戻った。  3. 「どうしたの?理佐具合でも悪いの?」 「……なんでもないから!」  停電から復旧して母親の心配よそに私は怖くて2階に上れず洋間に引きこもっていた。  この部屋にもカーテンが引かれているが完全に閉じている。  心ぼそい私はチコを抱いていた。  しかし、チコはなぜか掃除機をかけてないのに唸り声出していた。 「理佐~ご飯よ」  その時、私は食事に向かうとする時に私のスマホからチャット通知が来る。  その通知は母親からだった。  え?と思ったが内容を見てみると『今晩仕事遅くなるから、食事は済ませておきなさい』という文面だった。 「理佐、ご飯よ。早くしなさい」 「え?お母さんなんで仕事じゃないの」 「仕事ならもう終わったからね」  なんだろうか話が噛み合わない。  チコはひどく唸り声を出してる。  そのチコは洋間の外へ飛び出した。  私は怖くなり洋間の鍵を閉めた。  すると業を煮やした母親らしき人物が私の洋間のドアの前までやってくる。 「開けなさい理佐!?悪ふざけにほどがあるでしょ?」 「いや!!」  激しくドアが叩かれる。  私は必死に耐えていた。  あんなのは母親じゃなかったから。  長い間無言にドアが叩かれる途中止んだ。  しばらくしてまた停電なる。  すると洋間の窓カーテンから何やら人影の気配を感じた。  そこで私はおそるおそる窓カーテンを開けるとーー、  そこにチコがいた。  ガラス窓に覗く母親がチコの生首を持って私を見て笑っていたから……。  私の悲痛な叫び声は家の外へは届かなかった。  4. 「という怪談よ」  私が怪談を披露すると部員のみんなは静かになる。 「ひゃあああ鳥肌が立つマンモス」  真田部長のウザさはどうでもよいが彼女は現れるのだろうか?  しかし、いくらやっても来なかった。  一体なぜなんだろうか? 「どうしたの麻紀?」 「あ、いや彼女本当に現れてくれるのですかねさん」 「ええ。たぶん」  そのたぶんがわからないけどね。  私たち部員一同は怪談に現れる彼女を待っていた。  窓カーテン 完
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