2人が本棚に入れています
本棚に追加
04話 霊蚊
夜な夜な血を吸い求める妖怪霊蚊はご存知かしら?
その霊蚊は普段から普通の女にしか見えないけどね。蚊に化けて血を吸い求めるらしいわよ。
ま、大したことない妖怪だけどね。
だってさ。ただの蚊の人間だよ?
ぶっちゃけ大したことないわよ。
そうそう。じゃあ次はーー。
私は寝静まる真夏の晩に霊蚊の怪談もすっかり忘れていた。
その時に急激に締め付けられるような金縛りが起きるのだ。
そして、誰かの気配を感じて息遣いがするのだ。
こふー、こふー、こふーと擦れるような呼吸音がするのだ。
私はうっすらと瞼を開けると、そこに髪の長い口から長いストローのようなくちばしを持っていた女性が現れたのだ。
あろうことか、私の腕にそのストローのくちばしで突き刺さり私の腕にある血を吸い取るのだ。
ズズズと吸われていく感覚がして悶える私。
しばらくすると吸い切ったのかそのストローくちばしの女性も消えて金縛りも解けた私だった。
それ以来、毎年真夏日になると彼女が血を吸いにやってくる。
そしてある年にばったりとやってこなくなった。
それは私が自宅周辺に蚊が飛んでいたので殺虫剤をかけると蚊は消滅したのでもしかしたら、彼女ではなかったかなと少し悪い気もした。
それ以来、毎晩蚊の飛び回る音に悩まされている。
霊蚊 完
最初のコメントを投稿しよう!