2人が本棚に入れています
本棚に追加
05話 触る髪は祟りアリ
私の髪は特別製なの。
そう、触れると災いが起きるから。
なーんて冗談よ、冗談。
怪異談の中にも髪が災いのもとの話があるけど、その怪談にある髪に関するゾクッとする話があるの。
その髪に触れると呪われるわよ。
あなたも大丈夫かしら。その髪はーー。
私が登校する時に彼女はすでにいじめられていた。
彼女は根暗おさげメガネでこのクラスのカースト女王様に目をつけられていたから。
彼女の机には油性のマジックペンで罵詈雑言の悪口が書かれていた。
そのいじめっ子達はよく語るには私らの視界に入ったという難グセである。
だから、いつも彼女は早くに登校して雑巾を持ち歩きその汚れを水を浸して拭いて落としてる。
あだ名は雑巾娘とクラスは囁かれていた。
私を含む外部のクラスメイトは何もせず傍観者という立場だったから、近くに寄らず火の粉に降りかからないようにしていた。
そんなある日に事件が起きたのだ。
2.
「やめてください!」
次の日、放課後の校舎内の裏側でいじめっ子達はその彼女をしつこくからかわれていた。
私はとばっちり受けないよう建物の影からこっそりと様子を伺っていた。
「なーに。しけた顔してんじゃねーよ!」
「触らないで!?」
そのいじめっ子達は彼女のおさげを引っ張るとそのつながれたおさげの結が解かれると、
ーーその髪が意思があるかのようにいじめっ子の1人に髪が伸びて襲いかかった。
「ガガガガガガガガガガッ!?」
その髪がまるで腕みたいにいじめっ子の1人に首元を締めつけるのだ。
呆然としていた他のいじめっ子達はその髪を引き離そうと髪を触れるが彼女達もその髪の毒牙の餌食となる。
私はただ信じられない顔をして見てるだけだった。
その彼女の髪がいじめっ子達の身体ごとを持ち上がりいたるところに首の根元を締め上げられてジタバタと抵抗するが振り解けず徐々に身体青白くなっていた。
そしてそのまま事がプツンと切れるように髪を掴まれたいじめっ子達はその場で力を尽きて倒れた。
私はその場で声が出ずに腰を抜けてしまった。
その時、私の転ぶ物音で気づいた彼女はそのまま私にゆっくりと近づいてきた。
「……誰にも言わないで」
そっと彼女は言った。
その時私は強く頷いた。
そして彼女は立ち去る時、私は気づいてしまった。
笑っていたのだ、彼女は……。
その日、事件となったいじめっ子達の不審死は学校中大騒ぎなった。
そのいじめられた彼女はそのまま転校していった。
そしてその事件も薄れた時に私は卒業して美容師になったときカットするその女性のお客さんに怪談を披露すると、
「言ったわね」
そのお客さんの髪がシュルシュルと伸びて私の首元にガッツリ捕まれた。
3.
「という怪談よ」
八木楓さんの怪談を披露した後は急に静まり返るのだ。
「いやああああん!?こわいこわいん」
真田部長のウザさは相変わらずだった。
忘れずに私は部屋の明かりをつける。
「怖かったね。麻紀」
「そう、そうね。でも彼女は現れないなー。なんでだろう」
彼女は小石麻紀。
麻紀は相変わらず怪談モノが好きでよく彼女が出ないかと耳がタコができるかようにつぶやくのである。
「ふふふ。意外とすでに来てたりしてね」
「いやあああん!!こわいん」
そういう八木楓さんは怖さに慣れてるわね。
でも、やっぱり彼女の髪は綺麗だな。
「あら、玲奈さんどうしたの?」
楓さんの髪はサラサラして触り心地いいな。
「いやー。髪に関する話を聞くとなんだか髪触りたくなっちゃって」
楓はクスクスと笑って言った。
「あらあら。うかつに人の髪を触ると祟られますよ」
「あはは、まさかー」とその目の前に黒い物体が私の髪の毛に張り付く。
みんなは静まり返る。
「あ、ゴ「わーわーそれ以上言わないで!?」」
その黒い物体は飛び回り私たちはそれと格闘する。
たしかに私は髪に祟られたようだった、トホホ。
触る髪は祟りアリ 完
最初のコメントを投稿しよう!