20人が本棚に入れています
本棚に追加
始まる、爛れた関係
それでも俺を、愛してくれますか。
「岸野さんが来たぞー」
半年に一度行われる、人事異動。
今回は直属の上司が代わることになった。
同じ部署の先輩、吉川隆之に呼ばれ、
ミーティングルームに足を運んだ。
「失礼します」
ドアをノックし、中に入ると
馴染みのメンバーが数人見えた。
そして。
メンバーに囲まれ、
恥ずかしそうに微笑む彼と目が合った。
「!」
今年23歳になる俺より
2歳年上だと聞いていたが、
年上とは感じさせないあどけない笑顔。
つぶらで黒目がちの瞳、
肉厚で小振りな唇、サラサラの黒髪。
超、美人だ‥‥
一目で、強烈に惹かれた。
視線を外せなくなった俺を見つめ、
彼の小さな唇が動いた。
「キミが川瀬くん?はじめまして。岸野です。
これからいろいろよろしくね」
彼に微笑まれ、途端に頬が熱くなる。
こんな気持ちになったのは久しぶりだ。
予期せぬタイミングでの恋の予感に、
心は打ち震えた。
最初のコメントを投稿しよう!