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強烈な心身の痛み。傷。
「由貴、逃げるんじゃないよッ」
母さん。止めて、止めて。
幼い俺はカラダを縮こませ、
母がしてくる躾という名の暴力に耐える
日々を送った。
父の存在は欠落していた。
母の様子に気づいた祖父母に救われ、
小3の春に祖父母が住む街に転居。
新幹線が停まるその街には
高校卒業まで住み、上京し、
大学の近くでひとり暮らし。
やがて祖父が亡くなり、
後を追うように祖母もいなくなり、
21歳で天涯孤独となった俺は
縁のあった男女と切れ目なく、
静かに愛を交わしてきたが。
誰かと恋をする度に、
苦しさに押し潰されそうになった。
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