20人が本棚に入れています
本棚に追加
「川瀬くん、大丈夫?」
彼に肩を揺さぶられ、目を開けた。
いつの間にか眠っていたようだ。
「‥‥ん」
定まらない意識を浮上させ、
ゆっくりベッドから起き上がる。
「うなされてたよ」
「‥‥大丈夫です。すみません」
彼に優しく髪を撫でられ、頬を緩めた。
いつか訪れるかも知れない別れを
考えるのはまだ早い。
彼と深く重なり合いたい。
それは間違いない。
彼を引き寄せ、耳元で囁いた。
「まだ一緒にいてくれますか」
「だから電車ないし。放り出されても困る」
「あはは」
俺の手をすり抜け、
立ち去った人たちがいたことは考えない。
今は、惹かれて止まない彼のことだけ。
漆黒の闇が広がる半径2メートルが、領域。
自由に跳ぶなんて、絶対に許さない。
最初のコメントを投稿しよう!