嫉妬に狂い、吠える夜

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初めて彼の姿を目にした時の心境は、 僅か2週間前のことであるから もちろん鮮明な記憶だ。 強烈な一目惚れ、脳が真っ赤に染まった。 この人との出逢いを待っていたんだと 瞬時に確信した。 とはいえ、彼との始まりに 抵抗がなかったかと言えば嘘になる。 それまでの恋が自分の本意ではない形で 終わりを迎えていたから、 未来を信じることができなかったのだ。 でも。 彼はベッドの中で俺を抱きしめると、 愛の言葉を囁いてきた。 「川瀬くん‥‥俺は何があっても、 キミから離れたりしない。たとえ、 キミが今の姿からはかけ離れた本性を 見せてきたとしても、俺は愛したい。 だから俺を信じて」 これ以上の言葉があるか?と打ち震えた。 それなら今は、彼の言葉に賭けたい。
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