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「川瀬」
同じ年齢の後輩、佐橋雄大に声をかけられ
ビルの2階にある喫煙室に足を運んだ。
「何、どうしたの」
基本的に会社では敬語を使う俺だが、
佐橋とだけはくだけた話し方になる。
佐橋もそれを望んでいると思った。
「あれから岸野さんと、さ」
「あ、うん。付き合ってる」
とあっさり白状すると、
佐橋はぎこちなく微笑んだ。
「すごいなあ。出会ったその日に、だろ?
岸野さんのアプローチもすごかったけど。
皆、びっくりしてたよ」
「だろうな。俺も驚いてる」
「あのさ」
「うん」
佐橋がそれまで吸っていたタバコを
灰皿に擦り付けながら、言葉を続ける。
「俺、実は川瀬のこと」
「うん、知ってた」
「え?」
動揺する佐橋を見つめ、俺は微笑んだ。
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