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佐橋の俺に対する気持ちには
以前から気づいていた。
俺を見る眼差し、息遣いは
他の人へのそれとは明らかに違ったから。
決して佐橋のことは嫌いではなかった。
言葉にしなくても
動いていく時は動いていくものだし。
ただ俺は佐橋を選ぶことなく、
彼との出逢いを待って彼の手を取った。
それが全てだ。
佐橋と喫煙室を出て、窓から空を見た。
今頃、彼は他部署の人たちと
秋に予定している広告フェアの件で
ミーティングをしていて、
俺のことなど微塵も考えていない。
職場では周りの手本になるような、
仕事のできる憧れの上司。
俺も頑張らなきゃな、と呟き、
フロアに戻るためのエレベーターに
乗り込んだ。
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