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他のメンバーが退室し、
俺と彼だけがいるミーティングルーム。
テーブルの片隅に身を寄せ合うように
彼と座った。
「では簡単にうちの部署で進めている
案件の説明をしますね」
そう言ってひとつ咳払いをし、
椅子に深く座り直してから
あらかじめ作成していたレジュメを捲る。
「掲載常連のk興業様は、来週から来年の
9月末までの年間契約で、同時期に走る
求人は5本です。週変わりでキャッチコピー
とボディコピーを更新し、確実に求職者を
獲得する狙いです。新規のa株式会社様は、
最近業績を伸ばすハウスメーカーです。
こちらの同時求人は3本。明日から2ヶ月
掲載の予定です。コピーの更新については
求職者の反応次第で検討するということで、
追加費用の支払いに前向きでいます。
掲載2回目のc食品様は‥‥」
と淡々と顧客の説明をし続け、10分。
レジュメを閉じ、顔を上げた俺は
俺が手渡したレジュメに
細かく書き込みをしている彼に問いかけた。
「顧客の求人担当者には、速やかに
岸野さんのことをお伝えします。
ここまでで何か不明な点はございますか」
「いや、大丈夫。川瀬くんありがとう」
彼はペンを走らせていた手を止め、
俺に頷いた。
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