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当時付き合っていた彼女に指摘された。
この職場でも多少は汗をかいているので、
俺の体臭を知っている人はいるだろうが、
特に言われたことはなかった。
高鳴る鼓動を感じながら、彼を見つめた。
「嫌、ですか?」
そう口にしたら、想像以上に緊張した。
数秒の間。
彼は小さく首を傾け、俺に微笑んだ。
「大好き」
‥‥いやいやいやいや。
その言葉、破壊力ありすぎだから!
嬉しい衝撃。瞬時に笑いが込み上げた。
「川瀬くん。何で笑ってるの」
「大丈夫です」
肩を揺らし、派手に笑う俺の隣で
彼も微笑みを絶やさないでいる。
ヤバい、鷲掴みされた‥‥
ときめき過ぎて興奮が収まらない。
今までどんなに嬉しいことがあっても、
こんなテンションになったことはない。
これから俺、この人にどう転がされていく?
「すみません。フロアに戻りましょう」
目に溜まっていた涙を軽くハンカチで拭い、
立ち上がった。
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