始まる、爛れた関係

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「あ、」 彼は小さく肉厚の唇を濡らし、 俺ににじり寄ってきた。 「やっぱり川瀬くんと一緒がいいな、 ダメ?」 腕を取られ、手にしていたバスタオルが バサっと床に落ちる。 俺の目の高さまで跪いた彼は 動揺を隠せない俺の胸に頭をつけ、囁いた。 「川瀬くん、いい匂い‥‥もう限界」 そして彼は顔を上げ、迷うことなく 俺の首筋に両腕を回す。 「あ、あのっ、岸野さん!落ち着いて」 と慌てて引き剥がそうとしたが、 彼の腕は更に俺の首筋に絡みつき。 はむっ、 「ひっ」 俺の右耳は彼に甘噛みされてしまった。 「川瀬くん、大好き」 甘く絞り出すように愛の言葉を口にした 彼は、俺が抵抗しないことに気づき、 クローゼットの扉に俺を押し付けると、 唇に数回キスを落としてきた。
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