Episode.8

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今日も窓は固く閉ざされている。 呪いをかけたれた王女さまが眠るイバラの森の塔みたいに。いくら見上げてもカーテンは開かず、待っている人も現れない。 肩を落として帰路に着く。今日もハルカには会えなかった。ハルカに会えずにもう一週間が過ぎた。 ハルカは本当は、ずっとずっと寂しかったんだ。 でもその気持ちに誰も気づいてあげられなかった。それがハルカをどんどん孤独にしてしまったんだ。 あの時ハルカに何を言っていれば、ハルカは笑ってくれたんだろうか。毎日そればっかり考える。 私がもっと大人で、言葉選びが上手だったらハルカは今も私と、自転車に乗ってあちこちを走り回ってくれていたんだろうか。 ベッドに寝転んで枕元に転がしていた小説を手に取った。ハルカが好きだと言ったお父さんの小説、私が主人公の物語。 顔の上に置いて深い息を吐いたその時、古ぼけたインターフォンが部屋中に鳴り響いた。 どうせ迷惑なセールスだろうと思ってのんびり小説のページをめくりながら確認しに向かうと、カメラに写っていたのは高木さんだった。
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