Episode.1

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思ってもみなかった返事に、喉まで出かかっていた言葉がどこかへ行ってしまった。 代わりに出てきたのは「は?」という私の怪訝な声。 「うーん、でもお兄さんたちどこかへ行っちゃったしなぁ」 ふむ、とあごに手を当てて首を傾げた。 何を言ってるんだこいつは。 「この場合おれがカガイシャになるのか。だったらタイホされちゃう? どうしよう、おれ生まれて初めてパトカー乗る。それは、ちょっとドキドキする」 「ちょっ────と待て。色々とついていけないんだけど……。そもそも警察なんて呼んでないし。あんたを助けるためにああ言っただけだから」 今朝目が合ったのをカウントに入れるとしても、こいつとはほぼ初対面だ。なのに私は一体何を話しているんだろう。 「あれ、そうだったの? そっか。よかった安心した。おれタイホされないね。でも嘘はダメだな、嘘はいけないよ」 のほほんと笑ってそう言ったそいつに、無性にイラッとする。 「元はと言えばあんたを助けるためでしょうが。フツーそういうのわかるでしょ」 眉間に皺を寄せる。そいつは困ったように眉を下げて肩をすくめた。 何よその反応なんかムカつく。 「俺、フツーじゃないから」 「……は?」 「とにかく、嘘はダメです」
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