Episode.9

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今までそんなことは一度も考えたことがなかったのに、言葉にしてすとんと胸の中に落ちた。 伝えたいことはいっぱいある。でもこれだけでも全部伝わるような気がした。 ハルカは目を丸くした。何度か瞬きしてその長いまつ毛から雫がぽたぽたと落ちる。そして顔をくしゃくしゃにして大きく頷いた。 「おれも、ミクが大好きだよ」 両手を差し出して、私の手をぎゅっと握った。瞼を焼くような熱さにただただ顔を顰めて、離すものかと力を込めた。 この手を離したら、二人の冒険は終わってしまう。そんな気がしたから。 結局ボートは月には届かなかったけど、風に煽られて星空が映る湖の上を静かに進み続けた。  
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