Episode.2

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さっきと同じように階段を二段飛ばしに駆け下り、最後は四段飛ばして着地する。 急いでトートバッグと自転車を救出する。ハルカが私を追って階段を降りてきているのが見えた。追いついたハルカが膝に手を着いて息をしながら笑う。 「ミクはいつも急いでるね」 「誰のせいよっ!」 「おれのせいです。ごめんなさい」 素直に謝ってくるとかずるい。もう少し責めさせろ馬鹿。 「……別に。もういい」 一言だけそう言うと、私は自転車のスタンドを強く蹴った。勢いよくグリップを押したが、カクンと体がつんのめった。眉根を寄せて振り返るとハルカが自転車の荷台を掴んでいた。 「……一応聞く、アンタ何してんの」 「少し待ってほしくて荷台を掴みました」 「『見て分からないの?』って顔で答えんな! てかそれ以前に掴むな!」 だって、とハルカが困ったように笑う。その顔に嫌な予感がした。 「……まさかとは思うけど、また迷子なの?」 「へへ、大正解。家まで送ってくれると嬉しいな」 スゥ、と息を吸いながら天を仰いだ。 「……後生だから勘弁して」 「『後生だから』って格好いい言葉だよね。有山浩道の『本と私と王子様』でヒーローが使っていたよ、『後生だから生きてくれ』って」 「そのシリーズ全部持ってる! あんたも好きなの? ……じゃなくて、今すぐ手を離せ手をっ!」 「お願い。おれ、すごく困ってるんだ」
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