Episode.2

9/13

29人が本棚に入れています
本棚に追加
/132ページ
「そういや、なんであんなところにいたの。高いところ巡りって何?」 「うーん。特に意味はないけど、ちょっと探し物をね」 「何を?」 「変わってないもの、とかかなぁ」 さっぱり意味が分からないから、ふうんと適当に相槌を打ってもぐもぐと口を動かした。 ハルカがごろんと芝生のうえに寝転がる。寝転がるとふあぁとあくびをして、眠たげに瞼を擦った。 まだたこ焼き、四つしか食べていないのに。 「もういらないの? 別に遠慮しなくてもいいけど」 「してないよ、ごちそうさまでした。美味しかったです。おれ、たこ焼き好きになった」 にこりと微笑んだハルカは、そのまま芝生の上をコロコロと転がり始めた。 残り五個を一人で平らげ、ペットボトルのお茶を一気に飲み干しす。 「どうして、ミクとこう何度も偶然に出会うのかなあ。それもおれが困ってる時に」 「知るか」 ゴロゴロと転がりながら隣に戻ってきたハルカを一瞥して、素っ気なく答えた。 ハルカは転がりながら手を伸ばし、頭の上にあった小さな花をプチッとちぎった。クンクンと匂いを嗅いで満足げに微笑む。同じようにいくつか引っこ抜くと、名前もわからないその小さな花を「どうぞ」と私に差し出した。 「言っとくけど、それだけじゃたこ焼き代はチャラにしないから」 「ちぇー、やっぱりだめか」 唇を尖らせたハルカに、思わず笑ってしまった。
/132ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加