Episode.3

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そう繰り返しているうちに、三角公園の前に差し掛かる。 植木の隙間から、あの古びた時計台が見えた。ここまできても会わなかったら、基本ハルカに会うことはない。少しつまらない気持ちになって息を吐く。 ああ、でももしかしたら。 公園が途切れてしばらく行ったその先。お洒落な家屋が並ぶ住宅地の丁度真ん中らへん。季節の花にクリーム色の煉瓦の壁、風に揺れる出窓のカーテン。そして。 「……いた」 出窓に腰掛け、まどろむような表情で外の景色を眺めるハルカ。 自転車のヴーンという低い音に気が付いたのか、ゆっくりと視線を落とす。眠たげな目が徐々に開いていく。そしてふにゃりと微笑んだハルカは、のんびりした動きで伸びをして手を振る。 「おはよう、ミク」 きゅっとブレーキをかけ地面に足を付けると、自転車の重みがずんとかかる。 眩しい日差しに目を細めながら顔を上げる。 「夕方におはようって」 「久しぶりに起きたんだもん」 変な言い方。 唇を尖らせて「何それ」と呟く。 「ねえミク、自転車どうしたの」 ハルカはぴかぴかと輝く自転車を興味深げに見つめながら尋ねた。 ちらりと車体に目をやる。お店の中で一目見て気に入った真っ白なボディにべっこう色のサドル。 なんと言っても決めてはこの変則ギアだ。 「買ってもらった」 「そうなんだ。いいね、シンピン。嬉しいね、わくわくするね。絵本の王子さまが乗ってる白馬みたいだね」
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