Episode.1

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廊下をバタバタと走っているとお母さんも後を追ってきた。 「未来、今日は早めに帰ってきてちょうだいね」 残り半分のパンを無理やり口に詰め込んで、スニーカーの紐を結びながら「なんで」と尋ねる。 「ほら、前から話してたが……」 そこまで聞いて何の話をしたいのか理解した瞬間、反対足のつま先は無理やりスニーカーに突っ込み床に叩きつける。 続きを聞くよりも先にボロい鉄製のドアを開けて飛び出した。 「未来!」 お母さんが私の名前を呼ぶ。キュッと唇を一文字に結び階段を駆け降りた。 行ってきますは言わない。
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