いつか、呼べる日まで

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「あーかっこいいなぁ」 「歌ちゃん本当に伊倉くんのこと大好きだよね」 観戦仲間の紫織(しおり)ちゃん。 今日はあたしの初のビジター遠征にお付き合いしてもらってる。 「うん、伊倉くん大好き」 本人の前では失礼かなって思って選手をつけているけど、友達と話す時とかは「伊倉くん」って呼んでる。さすがに「アオ」とは呼べないから今はこれで我慢。 「ねぇ、それってガチ恋ってやつ?」 「ガチ恋かぁ……まぁ、恋はしてるよね」 だって大好きだもん。 でも、分かってるよ。所詮はファンと選手だって。 だからって恋してしまったのは仕方ないよね。 「あ、サイン会始まるってー」 「わー、楽しみ!」 今日はビジターファンクラブDayといものがやっていて、そのために来たと言っても過言ではない。 もちろん、応援はしにきた。でもこのサイン会のメンバーは試合にすぐ出ることはない、中継ぎピッチャーの仕事なんだ。 誰が登場するかはわからないけど、伊倉選手は中継ぎだから登場する可能性が高い。 だから、今日を遠征の日にきめてサイン会も応募していた。 「お互い推しがいるといいよね」 チケットに書かれている場所へと2人で話しながら向かう。 「これは、順番に選手が変わってくやつかな」 「ぽいよねー」 なんて話してたら、伊倉選手の番になったようで彼が出てきて並んでいたファンにサインをしていく。
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