バンド再結成

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バンド再結成

 足を失った勘解由小路と呂望は、四不象がいるという、山中に向かっていった。 「何か、足でとぼとぼ歩いとる儂が、馬鹿みたいだのう。その神輿は、何なのだ?」  懐かしの、勘解由小路のチェアを見て呂望が言った。 「だから、聖帝十字稜参りに使うもんなんだがな。真琴ーいつでもおいで♡膝の上に♡」 「きゃあ♡足が疲れてしまいましゅた♡ナデナデしてくだしゃい♡」  託児された先では、赤ん坊がJKのおっぱいを狙っていた。  どうでもいいがギャーギャー言っている。 「相手にするだけ無駄だ。あの野郎は。で?巣ってどこよ?」  ゼーハー言ってる正男が吐いた。 「この山のてっぺんの木の上だのう。スープーは飛びよるしのう」  山のてっぺんには、その後1時間ほどで着いた。 「おお久しいのう!スープー!」  言った呂望に対し、呂望の騎獣四不象は、レスポールを抱えて、こう言った。 「で?次のギグはいつだ?」  四不象は、ロッカーとして一旗揚げていた。 「ギグって、のうスープー。久しぶりに集まろうではないか?崑崙は今ヤバいのだよ。白鶴が、きゃっぷかぶってYOとか言っとって、もう末期だと判断したのだよ」 「あ?それはあれか?俺等のフレディの死よりも大事なんか?」  我等が伝説の霊獣は、ボヘミアン街道を爆進していたという。 「だがのうスープー。ずっと一緒にやって来たではないか?今では分裂し、互いが何をしているのかも解らぬとあっては、後世の誹りは免れんのではないか?せめてあれであろう。ラインのIDくらいは交換せんか?」  それで、どうすんだ?俺の疑問をよそに、霊獣が牙を剥いた。 「何で分裂したのか?だと?よく考えろや時代って奴をよう!2000年前はもっと封建制度が苛烈だったろうが!お前が羊モフモフモッコモコおおおお!と叫んでる傍らで、俺がどれだけ働かされたと思ってんだ?!お前なんかただのロクデナシだったじゃねえか!そうだろう姜子牙!「働くくらいなら食わねえよ」っつったの覚えてんだぞこっちは!今更再結成?ある訳ねえだろうが!あんま舐めてるとよう。窓ガラス割っちまうぜ?なあママ、何で俺は生まれたんよ?ママ、人1人殺っちまったよう。お前をな!」  ジャーンっつって、ピックで呂望を指した。 「どこにあるのかのう?窓ガラス」  巣に、ガラス製品はなかった。 「おいカバもどき。死んだのはフレディだけじゃないだろう。ホッパーもディーンもゴーウェンも死んだ。ベイカーなんか2階から落ちて死んだだろうが。ロイ・ブキャナンなんか、留置場で首括って死んだ。イージーカムイージーゴーが世の常だ。そうだろう?それとも何か?俺の嫁さんの目を見たいのか?」 「え?えええええええええええええええええ?!この女何よ誰のバンギャ?!グルーピーのくせに、俺を何故そんな目で見んのおおおおおおおお?!レスポ-る頭にぶっ込むぞオラああああああああああああああああ?!」  四不象は攻撃的に威嚇したが、全く通じなかった。 「お前は知らんのだろうが、バジリコックは最強の妖蛇だ。その目の前では呂望だろうが天帝だろうが砂塵に消える」  儂を例えに出すなって。 「あら、可愛い麒麟ちゃんですね。この体は、蛇でしょうか?龍でしょうか?まあこの尻尾は?降魔さん?」 「(たい)だっけ?けったいな生き物か、芋虫っていう意味だ。解体して調べてみようか?」 「はい。よいしょ」 「おぎゃああああああああああああああああああああ!!ご主人様助けてええええええええええええええええ!!!」」  生きたままバラバラにされるより、苛烈な封建社会に生きることを選んだ四不象(スープーシャン)だった。  おー。スープ―に跨るこの感じ、懐かしいのう。 「これでは、ライクアローリングストーンズな生き方に、拍車がかかるようなものだ」 「かかってどうする。で、カバの代わりに何か出せよ。こっちも霊獣な?」 「多分、昔ドラムやってた奴が、騎乗者探してたような。呼んでみましょう。ママああああああああああああああ!!!」  ってエコーかかって遠くまで響き、 「アイキルダメーン」ってエコーが返ってきた。  高速回転する巨大カメの背中に乗って、勘解由小路は旅を再開させた。 「ところで呂望。お前は道案内だとして、戦力として考えた場合、どうなる?」 「あ?」 「実際、何の役にも立たないよな?太極図、とか持ってないんだよな」 「いや、まあ、持ってないけどのう」 「ってことは、漫画版とは違うってことで、いいのか?」 「違う。全然違う。だって女媧生きてるしのう」 「こっちにはな?魔家四将の宝貝しかないんだ。ここいらでビシッとした人材を、出せそろそろ」 「そろそろて。会って1日なんだがのう」 「ご主人。どうします?確か近所の村に」  あ。でも、ううん。 「まあ、1人おるよ?」 「韋護か?韋護ならいい。速攻で妲己始末したし」  呂望は、しかしビキって来ていた。 「道行天孫の弟子だったのう。あいつは。今何してるかは知らん」 「役に立たん奴だな」  おぬしが乗っとる霊獣は、誰が用意したのか?こやつ。 「あー。だったらいいわ。ここらで、儂等の希望の星でも捕まえに行こうか。どうせー、儂より強いしー」  不貞腐れてやがるな。こいつ。  正男はそう思った。  
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