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で、お前呂望だよな?勘解由小路は言った。
「斉にいたよな?周のあとで」
あー。花狐貂を見上げながら、呂望は言った。
「まあ斉はのう。儂が封じられた時もう末期だったしのう。ああなってはもう目も当てられんのう。ところでお主等何ぞ?」
「まあ日本から来たディベロッパーみたいなもんだ。崑崙の仙道真っ平らにして、レジャー施設でも作りに来た」
「ジャパンマネー恐るべしだのう」
呂望は飄々と言った。勘解由小路の言葉を冗談だと思ったようだが、田所と俺辺りからすると、半分本気じゃねえのか?ホントだったらどうすんだ?って思った。
「まあ、ともかく儂は、斉を出たあと悠々自適な人生を送っておったのだよ。ライク・ア・ローリング・ストーンの如く」
「まあ、お前はそう言ってるがな?崑崙は今、恐らく女媧に牛耳られてるぞ?」
それを言うなよ。そう言いたそうに呂望は言った。
「まあ、そんな気はしておったのだが。それで、えっちらおっちら大陸を旅していたのだがのう」
「車も飛行機もなしで、どうやって?」
田所の指摘に、呂望は半分沈没した手漕ぎボートを指差した。
こいつ、飄々と、まるで俺達を待っていたような顔して、実際はボート沈んで岩に漂着してただけだった。
「あれだな。長生きすると目も当てられんな。目的地も解らず、クルーザー出した俺も俺だが」
「なら小僧。もう少し年上に敬意を払ったらどうだ?主を見ると、昔を思い出すのう。上海にいなかったか?お主みたいな奴がいた気がするのう。まあ酷い目に遭った」
「それ、俺のジジイじゃないか?」
「ほう?やはり細ののう。あんな奴は死んでしまえと思うた」
こいつのジジイ、ワールドワイドで死ねって思われてんだな。
正直言うと、お前もおんなじだけどな。
「ならばお主、西洋の悪魔を使役しておらんか?細は悪魔を便利に使い、紂王さながらの色欲な生活を送っておったぞ?」
「正直、悪魔を自在に使ってチート、っていうのはなあ。ちょっとフェアじゃない気もするし。ここに、宝貝持った連中がいるから、それに合わせていこうと思ってる。とりあえず、崑崙山へのルートを教えろ」
「細の孫か。打神鞭で頭を叩こうと思っておったが、まあよかろう。花狐貂に乗ろう。ちょいとごめんよー?」
武人らしさの欠片もないような、ヒョロいのが花狐貂の一部を占有して寝っ転がった。
「では行こう。崑崙はあっちだ」
「ああ。1つ聞き忘れた。さっき魔家四将を、俺の嫁さんが始末したんだが。そこで疑問だ。あいつ等復活したのに、いいとこもなく死んだんだが、何故か、魂魄がバヒュンと飛んでいかなかったんだが。あれかな?バジリコックの邪眼で、魂魄そのものまで殺し尽くしたからかな?」
「封神台のフィールド内であればそうだったんだがのう。あれを見よ」
指差した先に、ファンシーな観覧車が回っていた。
「あのファンシーな観覧車が、昔封神台だったものだ。いつからかのう?燃燈のシスコンが、竜吉公主を引き込んで、呑気に回っておるのだよ。まあ300年ほどのう。以上証明終わり」
「どこまでしょうもないんだ。お前等は」
勘解由小路がごもっともなことを言った。
ところで、お前さっき、崑崙はあっちって言ったけどな?封鎖されてないか?勘解由小路に、呂望が応えた。
「ああ、十絶陣が敷かれておるのう」
あああ。まあ任せとけ。
勘解由小路が、妙に自信たっぷりに言った。
解放された魔礼寿が、花狐貂に乗って、仲間のいる方に逃げていった。
「あれだ。俺の指示通り飛ばすか、俺の嫁、灰髪聖母の宝貝食らうかどっちか選べ。能力は女禍でも即死する」
ひいいいいいいいいいいいいいいいいいい!つって、魔礼寿は死地へと突き進んでいった。
十絶陣を、もろに食らって消滅していた。
「あああ。欠片も残らんなこれじゃ。」
「ひ、酷い奴だのう。だがまあ、仕方なくもあるのう。今崑崙への道は完全に封鎖されておる」
「先に、乗り物探そう。ああそう言えば、お前、四不象どうした?」
「あああ。スープーの奴はのう。気が付いたら実家に帰っとった。それからもう2000年は会ってないのう」
「どこにいる?スープー谷か?」
「違うのだのう。もしそうなら、儂はそこにいるおっさんと、同一人物ってことになるんだがのう。スープーの巣は、あっちにあるぞ?」
指差したのは、深い深い山の中だった。
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