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三つ目の天才道士
おうおう、朝もはよからもう行列が。
病院前の道は、おばさん達の行列が続いていた。
呂望は、ゴキブリのように列に入り込んだ。
「ちょいとごめんよー」
「アイヤ!横入りすんなああああああ!楊戩様に言いつけるわよおおおおおう!」
並んだおばさん達に、ボコボコにされていた。
やっぱり、いるのねここに。
崑崙切っての天才と呼ばれる、三つ目の楊戩が。
「おぎゃああああああ!待て!待って!待ってって言ってるでしょおおおおおおう?!あああいたああああ!久しぶりだのう!楊戩!」
古い作りの小屋のような医院から、幼さを残すような、若者が出てきた。
「申し訳ありません。列にちゃんとお並びください」
楊戩はにべもななかった。
しかし、けったいな騒動が、列の脇で起こっていた。
「師叔!こっちに来てください!」
「師叔て。こやつ儂を知っていてあの態度か」
「貴方ですか?!こちらの方を石で打擲したのは?!」
「あん?まあ、石があったんでな?」
「姫の主筋でなければ、青雲剣のサビにしているところだ!」
頭から出血しながら、温羅はそう言った。
うん?石で殴られた妖魅の腰に差した刀を見て、楊戩は、
「青雲剣。截教の宝貝?貴方達は一体。截教と闡教の混成?」
仙道では、人間を闡教、妖魅を截教と呼んで区別している。
要するに、截教って妖怪仙人だったっけ?正男の漫画の知識は、かなり深かった。
「彼等は日本の強者の集団だのう。なあ楊戩。今、崑崙に危機が起きているのだよ。女媧の金の力で、崑崙は本当に駄目になってしまっておるのだよ。久しぶりに、儂と一緒に戦っておくれ。主の哮天犬と、三尖刀の力が要るのだ」
ふう。楊戩は黙考して応えた。
「同道するのはいいですが、師叔、日が落ちるまで待っていただけませんか?三尖刀は今、僕のイタリア製の白衣とスーツを乾かす、物干し竿になってますので」
「何つうか、お主も駄目になっとりゃせんか?」
呂望は、無意味に1日待たされることになった。
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