狐瞬殺

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 何なんだこれは?!  爆裂した医院から、正男が(まろ)び出てきた。 「ほう。正男が正気なのは意外だ」 「田所ちゃんも無事だぜ?!尻に抱きついた静也を蹴りまくってる」  向こうで、赤い光が爆裂し、影山さんが、温羅をハンマーでぶん殴っている。  あいつ等はホントに。勘解由小路は息を吐いた。 「で、温羅はともかく、あと暴れてんのは誰だ?」 「仲間の神様だ!おい伏犠!」  呆然とした伏犠が、黒琵琶を弾いていた。 「黒琵琶かあ。まあいいやと持たせたのは、失敗だったかな?」  琵琶の弦の振動が、たちまち風火となって渦巻いていた。 「呂望、伏犠を殴り倒してこい。その為のだろうが」 「一応神だしのう」 「宝貝持たせたのに、何故か操られる伏犠。持ってないのに操られる静也って謎だ。いや、静也は操られていない気もするが」 「宝貝持っておらんなら、普通に操られよう。宝貝を持っているからこその防御だ。あの子供達は危ういのう」 「あああ。ペルソナ封印されると即死するみたいなもんか」  そうすると、田所が無事なのは。――あ。  突如、焼け残って医院の壁に、伏犠の頭が生えた。  いや、誰かが、伏犠の頭を、壁に埋め込んだのが正しい。  勘解由小路がブルっと震え、ついで、恐ろしいモノクルだけが、壁から見えた。  緑を抱いた、勘解由小路真琴が顕現したのだった。
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