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狐瞬殺。ヤンデレ嫁、無双す
あら?地の底から響くような声で、赤ん坊抱いた母ちゃんが、すーっと出てきた。
「火事ですか?妙に騒がしかったので出てきたんですが、出火原因は?」
また、ごすって言っていた。伏羲の頭が。
「まあ、降魔さん降魔さん。私達が着ていたドレス、寝る前に洗濯物として干してあったはずなのに」
ごす。ごすごすごす!
「燃やしたのは、誰でしょうか?」
ごすごすごすごす言っていた。
ひ、ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
呂望はめっちゃビビっていた。
通常の女性は、こんな風に無表情で人の頭をごすごすしたりしない。
「楊戩!漫画版の最後の希望が!壁打ちのボールみたいになっておるのだが!降魔!だったかのう!何やら四聖の王魔みたいだが!嫁を何とかして宥めてください!」
「ええ?やだ」
「おおおおおおおおおおおおい!楊戩!」
「い、いえしかしですね。ああ、ちょっと用事を思い出した。失礼」
ふわっと消えてった。
「あああ!霞に変化して逃げおった!あのダアホめ!」
「あああ、あの、真琴さん?そうやってごすごすしすぎると、赤い狸が降臨して、12話の「やめなさい」みたいになっちゃうぞ?」
「まあ降魔さん♡起きて探したのに、いないと思っていたら。あら?そちらの女性は?――浮気?」
妲己は、石と化していたが今、ビクってなっていた。
「中国の――狐ですね?狐って――いつもそうなのですね?」
興津に根来、トキ、莉里と枚挙に暇がなかった。
「いや、違うとしか、言いようがなくてだな?寧ろ、拐われそうなんだが」
「ああそうですか」
一際強いごす!があって、伏羲は完全に沈黙し、真琴は、妲己と睨み合っていた。
「私の旦那様は、渡しませんよ?大大大大大しゅきな旦那様は、決して」
「マーの、敵。しゃー」
赤ん坊まで。何か威嚇音出しとるのう。
いや、この嫁土行孫と嬋玉みたいだのう。
漫画版だと逆だったが。
ところで妲己は大混乱にあった。
紂王みたいなおっさんが現れ、こちらの物言いに一切反応しないし、傾世元禳で操ろうとしたが、何故か伏羲が操られて暴れた。
まあいっかと思ったら、現れたおっさん嫁に、壁に埋め込まれて沈黙するし。
挙げ句の果てに、おっさん誘拐犯にされたり不倫女扱いされるって、何これ?
でも、この女、この男の?
抱いてる赤子は、この男の?
無性に、無性に腹が立った。
「もういい!なれば全て滅ぼすのみ!我が傾世元禳と、五火神焔扇を前に消えよ!この毒婦が!」
「毒婦は、貴女の方では?匂いがプンプンしますが、薄汚いシタ女の匂いが」
ああああああああああああああああああああああ!!!狂乱した妲己が、最強の盾と矛を振りかざして襲いかかったが、
「みー」
パキン、という音を立てて、全てが消えた。
「・・・・え?」
目の前に、おっさん嫁が現れて、右目で、目を覗き込んできた。
何を悔いればいいのか、謝ればいいのかも解らず、妲己は砂と化して散っていった。
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