傾世元禳強奪

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傾世元禳強奪

 あー。倒せたよかったあ。妲己だった砂塵を一瞥もせずに、馬鹿は嫁と息子に近付いていった。  うっとりと目を閉じた嫁にキスの嵐を見まい、息子を抱いて頬ずりしていた。 「緑の本領発揮だったぞ。この可愛い坊主め♡父ちゃんとこ来い♡ああ可愛いぞ♡このリンゴほっぺ♡」  馬鹿親父の様子を見つめ、呂望が怯えて言った。 「破邪の浄眼持ちか。末恐ろしい赤子だのう」  勘解由小路は、緑を嫁に明け渡し、妲己が立っていた場所に近付いていった。  落ちていたものを、適当に拾い上げた。 「ああこれかあ。傾世元禳は。これは、俺が使おうかな?おお!自在に動く!ゆらゆらしてるなあ。馬力はなさそうだが、当座の腕代わりになるかも知れんなあ。そうら♡真琴♡」  傾世元禳が、真琴に絡みつき、グルグルして遊んでいた。 「よいではないか♡よいではないか♡って奴だ♡」 「いやん♡ああ降魔さん緑くんが♡ああんしゅてぎでしゅうううう♡」  自分諸共傾世元禳に包まれて、イチャイチャし始めた馬鹿がここにいた。  腰には、五火神焔扇が差さっている。 「妲己の宝貝を軽々と。あれだけの宝貝を平気で所有しているとは。十二大師、いや、元始天尊クラスの仙道ではありませんか?」  楊戩は瞠目し、呂望は呆れていた。 「日本人恐るべしだのう。いきなり妲己は出てきて、いきなり死によるしのう」  どこまでも出鱈目なのは、まあいつものことだけどよ。  計り知れねえな。こいつ等って目をしていた中国側のスター達を、俺はぼんやり見つめていた。
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