崑崙への道

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崑崙への道

 かくして、第二次崑崙山突入は始まった。  恐るべき十絶陣を前に、勘解由小路はアホ面下げて立っていた。  赤ん坊を抱いて。    さしあたって、逐次投入された仙道達、聞仲(ぶんちゅう)四聖(しせい)雲霄三姉妹(うんしょうさんしまい)趙公明(ちょうこうめい)通天教主(つうてんきょうしゅ)までいたのだが、 「みーいいいいいいい」  赤ん坊の一睨みで、完全に無効化されていた。 「おお!凄いぞ緑!防御は父ちゃんに任せろ。田所、焼け」 「ああうるさい!行け!五火神焔扇!」  通天教主は、何も言えずに灰燼と化していた。 「ほんに、出鱈目だのう。日本人は」 「よーし。亀の背に乗って、十絶陣を通過だ」  そして、赤ん坊1人に、かつての截教の星、十天君は滅ぼされていった。  天絶陣、地烈陣、風吼陣、寒氷陣、金光陣、化血陣、烈焔陣、落魂陣、紅砂陣、どれも入った瞬間即死するような闇の空間は、まるで赤ん坊遊びのシャボン玉のように、風のように消えていった。  ――へ?っていうリアクションを取った十天君に、楊戩は切りかかっていった。 「師叔!金光聖母(きんこうせいぼ)をお願いします!」 「ああまあ、仕方ないのう」  打神鞭が、金光聖母を殴り殺していった。  1分と経たずに、崑崙への道が拓かれていた。  ああー!もう可愛いなあ緑は!  ガハハと馬鹿は笑っていた。 「もう好き勝手に歩けるんだな?!緑は!あああ危ないぞー?」  傾世元禳が、緑を絡め捕って抱いていた。 「何か、しれっと六魂幡(りくこんはん)まで着てるしのう。当時の死闘は一体」  しみじみと、呂望は呟いていた。 「うん?だって、2000年前だろう?いつまで言ってる?昔は昔だ」    ボロボロ気味のマント着た馬鹿はそう言った。 「こんな封神演義、誰も見ねえよ。お前等一家が出鱈目してるだけじゃねえか。あああ、太上老君(たいじょうろうくん)の怠惰スーツとか出て来いよ。誰にも気付かれず、じっとしていたい」 「あったら、儂も欲しいのう。ああ、次は闡教かのう。また大量にやって来たのう」 「よし、次は盤古旛(ばんこはん)かっぱごう。元始天尊どこかな?」  こいつ、闡教のトップまで始末する気か? 「ああもういいわ!申公豹!」 「ええ。まあ、仕方ないですね?」  申公豹が、最強と言われる宝貝、雷公鞭(らいこうべん)を解き放った。  恐るべき雷光が、天を覆いつくした。  申公豹は、何もせずにあとをついて来たのだが、ともすれば、こいつ1人で十天君を始末出来たんじゃねえか?  マジで、そういう威力だったぞ? 「闡教の皆さんにお伝えします。私は、申公豹です。闡教の頂点におわす元始天尊に、弟子の姜子牙が会いに参りました。邪魔すれば、お解りですね?」  闡教の仙道達は、揃ってたじろいていた。 「師に会いに来たのだ。道を開けよ」  呂望の言葉に、誰も逆らえなかった。
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