6人が本棚に入れています
本棚に追加
崑崙への道
かくして、第二次崑崙山突入は始まった。
恐るべき十絶陣を前に、勘解由小路はアホ面下げて立っていた。
赤ん坊を抱いて。
さしあたって、逐次投入された仙道達、聞仲、四聖、雲霄三姉妹、趙公明、通天教主までいたのだが、
「みーいいいいいいい」
赤ん坊の一睨みで、完全に無効化されていた。
「おお!凄いぞ緑!防御は父ちゃんに任せろ。田所、焼け」
「ああうるさい!行け!五火神焔扇!」
通天教主は、何も言えずに灰燼と化していた。
「ほんに、出鱈目だのう。日本人は」
「よーし。亀の背に乗って、十絶陣を通過だ」
そして、赤ん坊1人に、かつての截教の星、十天君は滅ぼされていった。
天絶陣、地烈陣、風吼陣、寒氷陣、金光陣、化血陣、烈焔陣、落魂陣、紅砂陣、どれも入った瞬間即死するような闇の空間は、まるで赤ん坊遊びのシャボン玉のように、風のように消えていった。
――へ?っていうリアクションを取った十天君に、楊戩は切りかかっていった。
「師叔!金光聖母をお願いします!」
「ああまあ、仕方ないのう」
打神鞭が、金光聖母を殴り殺していった。
1分と経たずに、崑崙への道が拓かれていた。
ああー!もう可愛いなあ緑は!
ガハハと馬鹿は笑っていた。
「もう好き勝手に歩けるんだな?!緑は!あああ危ないぞー?」
傾世元禳が、緑を絡め捕って抱いていた。
「何か、しれっと六魂幡まで着てるしのう。当時の死闘は一体」
しみじみと、呂望は呟いていた。
「うん?だって、2000年前だろう?いつまで言ってる?昔は昔だ」
ボロボロ気味のマント着た馬鹿はそう言った。
「こんな封神演義、誰も見ねえよ。お前等一家が出鱈目してるだけじゃねえか。あああ、太上老君の怠惰スーツとか出て来いよ。誰にも気付かれず、じっとしていたい」
「あったら、儂も欲しいのう。ああ、次は闡教かのう。また大量にやって来たのう」
「よし、次は盤古旛かっぱごう。元始天尊どこかな?」
こいつ、闡教のトップまで始末する気か?
「ああもういいわ!申公豹!」
「ええ。まあ、仕方ないですね?」
申公豹が、最強と言われる宝貝、雷公鞭を解き放った。
恐るべき雷光が、天を覆いつくした。
申公豹は、何もせずにあとをついて来たのだが、ともすれば、こいつ1人で十天君を始末出来たんじゃねえか?
マジで、そういう威力だったぞ?
「闡教の皆さんにお伝えします。私は、申公豹です。闡教の頂点におわす元始天尊に、弟子の姜子牙が会いに参りました。邪魔すれば、お解りですね?」
闡教の仙道達は、揃ってたじろいていた。
「師に会いに来たのだ。道を開けよ」
呂望の言葉に、誰も逆らえなかった。
最初のコメントを投稿しよう!