15.私のオシゴト

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「モニーク王女殿下の専属護衛騎士です。伯爵家の次男なのですが、爵位は長男が継ぐことが決まっており、更には本人が寡黙というか無口と言うか……なのであまり令嬢人気はありません。まぁ、次男だからかもしれませんが」 “なるほど”  確かに声をかけても会話が広がらないなら楽しくはないだろう。  彼が伯爵家を継ぐならそれ目当てで近付く令嬢もいるだろうが、違うならば兄を狙った方が効率もいい。  ミィナの言う通り、令嬢人気は無さそうだ。   「顔はいいのにもったいないわね」  だが、王女に向けたあの微笑みを見たのなら、それだけで恋に落ちる令嬢がいてもおかしくはないはずだとも思った私はついそんなことを口走ってしまう。   「! わかりますの!? そうなんです、クリスはとても格好いいのです、それに……はっ!」  するとそんな私の言葉に一気にテンションを上げたらしい王女が嬉しそうに顔を赤らめて駆け寄ってきたのだが、すぐに我に返ったのか慌ててツンとした表情を作り私を見た。 「とにかく、貴女はこの城には不要なのです。侍女が一人もいない時点で歓迎されていないと気付いて祖国に帰りなさい!」
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