16.迷探偵?いいえ、名探偵だと思うのだけれど

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 不幸中の幸いなことに、私自身に害意がないためか私の存在のことを彼女に伝える気はないようで安心する。 “というか、ほとんど会話がないわね”  二人で図書室に行き、王女が本を読んでいる間は彼女の斜め後ろに立って護衛。  王城の庭園を散歩する時は、王女の前方を歩き護衛。  王女が私室へ入った時は扉の前に立って護衛。  その間の会話といえば、「今日は風が強いわね」と言った彼女に対し「そうですね」と返したこの一言のみだったのだ。  ミィナとかなり気安く喋っている私がどう考えてもおかしいとはいえ、流石にこれは少なすぎるのではないだろうか。 “私だったら息が詰まりそう……!”  リヒテンベルンにいた時には私にも専属護衛がいた。  私の剣の師匠でもあるジークとだってもっと会話をしていたのに、彼女たちの関係はこんなにも殺伐としているだなんて。 「やっぱり日常がこれではせめて結婚くらいはと夢見るのも仕方ないわね」  もちろんそう判断したのは会話からだけではない。  王女の顔が常に赤かったのだ。
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