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5.一緒ならば公務ですから
“流石にみんなの前で嫌味っぽすぎたかしら”
昨日が初夜なのは当然ここにいる誰もが知っている。
そして残念ながら殿下の訪問がなかったことも、すでに噂となって周知の事実となっているだろう。
「お前には慎みというものはないのか?」
「慎みで跡継ぎは生まれませんから」
「そもそも俺はそんなつもりはない」
「私はそのつもりです」
平行線の会話を繰り返し、唸るように睨み合う。
そんな私たちの間に入って来たのは、アルド殿下の側近だった。
「殿下、そろそろ明日の予定の確認をしないとスケジュールが押しますよ」
「あぁそうだな。すまなかったダレア」
“あの側近、ダレアって言うんだ”
思わずじっと見つめてしまっていたせいか、私の視線に気付いた側近の彼が私の方へ顔を向ける。
「昨日はご挨拶出来ず申し訳ありませんでした。アルド殿下の補佐をしております、ダレア・アークライトと申します」
プラチナブロンドの長い髪をひとつに結び右肩へ流している髪が、お辞儀と共にさらりと揺れる。
日の光に透けて輝き美しいが、同時に眼鏡も光を反射し表情がイマイチわからない。
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