6.お忘れ物(私)が勝手について行きますね

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「好きなの連れてってくれていいよ」 「ありがとう」 「あぁ、でも黒毛のは――」  にこりと微笑み厩舎へと入る。 “やっぱり王城の馬となると違うわね”  中を見回すと毛並みを整えられた馬たちが何頭もおり、どの子も健康そうだった。  その中でも一番筋肉が整っている黒馬を選ぶ。 「この子の名前は?」 「ラオだけど……まぁ、触れてるならいいか」 「了解、ラオ。私たちを乗せてくれる?」  そっとラオの首筋を撫でると、瞳を細めて顔に鼻を擦り寄せてくる。  くすぐったいその仕草に思わず笑みを溢した。   「もう一頭はどうします?」 「?」  その黒馬に挨拶をしつつ撫でていると、ミィナにそんなことを聞かれ私は思わず首を傾げた。 「ですのでもう一頭です。馬車は最低でも二頭いないと引けませんが」 「馬車でなんか行かないわよ?」 「え、じゃあ」 「この子に直接乗っていくわ。だって馬車だと小回り利かないし」  平然とそう伝えると、想定外だったのかミィナがぽかんと口を開いて固まった。 「忘れ物を届けに行くなら確かにそれが最善だな」 「ですよね!」
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