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流石におかしいと思い走る速度を落としながら彼女の顔を覗き込んでぎょっとする。
「み、ミィナ!?」
なんと青どころか白い顔になったミィナが白目を剥いていたいたからだ。
「ちょ、い、いつから!?」
まさか乗馬で気絶しているなんて!
「そんなに荒く走らせてはいないつもりだったんだけど……ッ」
どうりで静かなはずだ。
落ちないように彼女を後ろからしっかり抱き止めていたとはいえ、これは完璧にやらかしている。
あわあわと焦りつつラオを止めた私は、完全に気を失っているミィナの額に滲んだ汗をそっと拭い、彼女が落ちないようにしっかりと抱き直してからかなり速度を落とし歩かせ始めた。
この速度ではもうアルド殿下に追いつくことはできないだろう。
それどころか到着する頃には視察が終わってしまっているかもしれない。
“仕方ないわ”
だがこうなってしまったのは私の責任だし、第一彼女は私が嫁いだこの国、グランジュの守るべき国民だから。
幸い街が近いのか地面には沢山の馬車の後が残っており、この跡を辿れば街には着きそうではあった。
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