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「離縁だ離縁ッ! どんな残虐思考をしているんだ、それとも自虐思考か!? とにかく物騒なことを口にするな!」
私の直接的な表現が気に触ったのか、ちょっと――いや、かなり引いた顔をしたアルド殿下にそう訂正されるが、人質なのだから離縁で済むはずはない。
「離縁した後に殺すってことね!?」
「なんでだよ! 普通に生きて送り返すわッ」
「絶対嘘! 妻の立場を失ったら絶対殺されますぅ~! リヒテンベルンにも帰れませぇん!」
「なんの自信なんだ!? 命の保証はするっつの、というか別にお前には悪い話じゃないだろ!」
キャンキャンと噛み付く私に苛立った様子のアルド殿下だが、そんなこと構ってなんていられなかった。
「悪い話よ! 愛人って何? 私は貴方の妻になりに来たのよ!」
「そ、れは」
「大体ここでどうやって愛人を見つけろっていうの? というか離縁する前に私が孕んだらどうするのよ!」
「いや、その」
「なんっにも考えてないなんて言わないわよね!? 発言には気を付けた方がいいんじゃないの!?」
「だ、だが」
私の勢いに負けたのか、たじたじとした殿下がチラッと背後へと視線を向ける。
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