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私も殿下の視線の先を追うと、俯いて肩を震わせている側近がいた。
“わ、笑われてる”
流石に熱くなりすぎたことに気付いた私が慌てて黙ると、まるで好機とばかりにこほんと咳払いをしたアルド殿下が再び口を開く。
「確かに離縁までに子供が出来ると厄介に思えるが、俺はお前の閨には行かないし宮も避けるつもりだ。お前は自身の宮で好きな者と自由に過ごしてくれ。俺の身の潔白とお前の子の父親についてはそれだけで十分明らかになるし、それに別の男との関係は離縁する正当な理由にもなるだろう」
「くっ!」
……だが、もちろん私もここで負ける訳にはいかない。
「つまり離縁したいから浮気しろってことね、さいってぇー!!!」
「確かに言い分は最低だが、子だけじゃなく相手の男含め命の保証はするし、お前だって人質として嫁がされた相手じゃなく普通に好きな男と幸せになれるならその方がいいだろ!?」
確かにアルド殿下の言い分は一利ある。
相手側から見れば、私は無理やり敵国へと単身放り込まれた人質で、自由も平和もないだろう。
だが離縁が成立し自由になれば話は別だ。
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