1.指名させていただきます

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 祖国へと戻れるのだ、住み慣れた我が国に。 “祖国から歓迎される前提だけれども”  それにもし祖国へ戻れなくても、アルド殿下が言葉通り保証してくれるなら、もしかすれば新しい身分と名前に住む場所までくれる可能性だってある。    人質として閉じ込められるのではなく、恋慕った相手と幸せな家庭を築けるのだ。  それは破格の提案であり、私側へと有利な提案でもあった。  アルド殿下の潔白のため彼とは一切接触せず、好きな人とのんびりいちゃいちゃしていればいい。  しかし王族である私が考えるべきは国のこと。  やはり私はまだ引き下がる訳にはいかない。     「人質がいなくなったらリヒテンベルンは……」 「この結婚はそもそも他国へのアピールとお前の国への警告だ。お前が嫁いで来ただけでもうその思惑は完遂したようなもの、最短で離縁をしても問題はない」 「ぐぅ!」  その言い分も正しい。ある意味正しくはあるが。 「好きな男をリヒテンベルンから連れてきてもいいし、この国で誰かを選んでも構わん。親の責任は子の責任ではないし、国の責任は王の責任だ。俺もお前には少し同情している、だから……」  
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