遠い遠い昔

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遠い遠い昔

 孫の世話で海辺の息子の家に3週間も滞在した。毎日朝夕、道路を渡り階段を降り海辺に出る。  海から、思い出した詩がある。  詩は苦手だった。  書けないし。読んでもわからない。  中学の頃は少し読んだ。  高砂(たかさご)さんという文学少女と親しくなり影響された。  彼女は詩を暗誦した。コーラス部なので歌もうまかった。  高砂さんはハイネの詩集を読んでいた。私に貸してくれた。  私は……読んでもつまらない。  ペラペラめくり、終わり。  ところが、その詩だけは浮き上がって見えた。  問い   寂しい夜の海ぎしに 、若者が一人立っている。  胸には愁いが充ちており、頭は懐疑でいっぱいだ。  若者は憂鬱な声で波に問う。  「人生の謎を解いてくれ。  一番古いむつかしい謎を、  エジプトの僧の頭巾を冠った頭、  ターバンを巻いた頭や、黒の縁無し帽をかぶった頭、  さては鬘をつけた碩学せきがくの頭や、その他無数の人間の 、哀れな汗ばんだ頭が考えあぐねたあの謎を。  いったい、人間の意義とは何だ?  人間はどこから来て、どこへ行くのだ?  あの天上の、金に光る星々には、何者が住んでいるのだ?」  波は果てしない呟きをくり返し、  風が吹き、雲が飛び、  星々は光る、無関心に冷たく。   (次ページへ)  そしてひとりの愚者が返事を待っている。   この詩をそばに置いておきたくて、文庫本を買った。  見事に変色したページ。180円だった。  海から、思い出した歌がある。  中学の音楽の時間に習った。  合唱コンクールで歌ったから歌詞も覚えている。  しかし、歌詞を貼り付けてはいけない。  著作権があるのだ。  とおいとおい昔 夜の浜辺で  若者ただひとり 竪琴を弾いていた  歌詞も2行なら著作権を侵害しないのかしら?  歌詞から一部を切り取っても、その結果が「ごくありふれた表現」だったりしたら、著作権を気にせずに利用していいらしい。  この歌はイスラエル系の民謡で、パブリックドメイン…… 著作権はすでに消滅しているはず。『桃太郎』と同じ……でも訳詩は? 『むかしむかし』久野静夫 訳詞 遠い遠い昔夜の浜辺で https://youtu.be/VRVmc2_fQZ4?si=GuRiSvLI6xWOcClz  このメロディーのフォークソングがありました。 防人(さきもり)の唄 / シュリークス https://youtu.be/XsIFrgtD1L8?si=zJFb76aWz-aonL_T  シュリークスは日本のフォークソンググループ。1969年結成。  1969年、早稲田大学フォーク・ソング・クラブのメンバーで結成されたザ・フォーシュリークが解散し、リーダーの神部和夫が明治大学の山田嗣人 (山田パンダ)、早稲田の嘉屋泰雄を誘って結成、1969年9月コロムビアレコードから「君よ! 人生は」でデビューした。  その後、嘉屋泰雄の脱退と入れ替えに、ザ・リガニーズの所太郎が参加した。  1970年に東芝エキスプレスから「さらば」をリリース、ヒットした。  後に保坂としえ (後のイルカ)が参加し「君の生まれた朝」をリリースしたが、所太郎と山田嗣人 (後に山田パンダとしてかぐや姫に参加)が脱退したため、男女二人組となった。  その後2人は結婚、神部としえとなったイルカはソロシンガーとなり、「なごり雪」のヒットをとばした。 【旧メンバー】 神部和夫 山田嗣人 嘉屋泰雄 所太郎 保坂としえ  
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