20人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
「はぁぁぁ……」
やっぱり、ため息しか出ない。隣でシゲルちゃんは「仕方ないじゃないのォ」って、開き直ったみたいにケラケラと笑っている。
こっちは必死なんだよ? 私がそう反論しようとすると。
シゲルちゃんが満面の笑みで「そんなココロにビッグニュースよぉ」と話を切り出した。
「お疲れのところ申し訳ないんだけど、夕方急きょ仕事が入ったワ。一休みしたら行くわよォ」
「今から?」
「ほら、例のブランドの件よ」
「えっ? 今度はなに」
例の、と言うとシゲルちゃんはタブレット端末を手に取り、依頼主から送られてきた資料を見せてくれた。
「どう? 次の仕事はこれ」
「わぁ、すごい!」
画面に写っていたのは、パジャマにソックスに、それからルームシューズやブランケット。ターゲット層は私ぐらいの女子高生とか、それよりも少し上ぐらい。カワイイものが大好きな女子なら、誰もが知っているルームウェアブランド。ホリデーと大きく書かれているから、これから来るクリスマスシーズン用のアイテムに違いない。
「このクリスマス特集、ウェブ広告打つみたいなの。店頭でも冊子を配布するから、ゲストモデルで出てくれないかって。その──最終チェックも兼ねてるって話よ。アンタにするのか、アンタの天敵のエマにするのか」
「……事情はわかった」
最終チェック、という言葉に私はごくりと息を呑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!