Act.1 Love Bubble

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「はぁぁぁ……」  やっぱり、ため息しか出ない。隣でシゲルちゃんは「仕方ないじゃないのォ」って、開き直ったみたいにケラケラと笑っている。  こっちは必死なんだよ? 私がそう反論しようとすると。  シゲルちゃんが満面の笑みで「そんなココロにビッグニュースよぉ」と話を切り出した。 「お疲れのところ申し訳ないんだけど、夕方急きょ仕事が入ったワ。一休みしたら行くわよォ」 「今から?」 「ほら、例のブランドの件よ」 「えっ? 今度はなに」  例の、と言うとシゲルちゃんはタブレット端末を手に取り、依頼主(クライアント)から送られてきた資料を見せてくれた。 「どう? 次の仕事はこれ」 「わぁ、すごい!」  画面に写っていたのは、パジャマにソックスに、それからルームシューズやブランケット。ターゲット層は私ぐらいの女子高生とか、それよりも少し上ぐらい。カワイイものが大好きな女子なら、誰もが知っているルームウェアブランド。ホリデーと大きく書かれているから、これから来るクリスマスシーズン用のアイテムに違いない。 「このクリスマス特集、ウェブ広告打つみたいなの。店頭でも冊子を配布するから、ゲストモデルで出てくれないかって。その──も兼ねてるって話よ。アンタにするのか、アンタの天敵のエマにするのか」 「……事情はわかった」  最終チェック、という言葉に私はごくりと息を呑んだ。
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