Act.1 Love Bubble

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 合言葉は、徹頭徹尾平身低頭(とにかくペコペコ頭を下げる)! 「お疲れさまです、叶ココロです。今日もよろしくお願いします!」  依頼主(クライアント)には礼儀正しく、挨拶は元気よく丁寧に、それから深々と頭を下げるべし。  サイン会が終わって、少しだけ休憩をして。私は今、ルームウェアブランドのプレスルームにやって来たところ。シゲルちゃんは担当さんに挨拶をすると「やり残した仕事があるから、打ち合わせ終わる頃に迎えに来るわァ!」って、慌ただしく送迎車に戻っていった。  直立不動で挨拶をして、得意の九十度お辞儀を繰り出す。そんな私を見たスタイリストさんが、かしこまらないでと声をかけてくれた。 「そ、そんな。頭下げなくってもいいからね? 今日は衣装チェックと、撮影の打ち合わせが少し。早速だけど」 「はいっ」  プレスルームには所狭しとブランドの今季のアイテムが並んでいて。窓際に視線を移すと、撮影スペースと思われる場所にソファーが置かれていた。  そこには無造作に置かれたパジャマ、背もたれにはブランケット。手前のミニテーブルの上には、キャンドルや本型のボックスなんかが置かれている。この空間がそのまま、自分の部屋だったらいいのになって。女の子なら誰だってそう思うぐらい、すべてが可愛い。
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