Act.1 Love Bubble

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 その後の衣装合わせも、順調に進んだ。 「え、今から? もう少し後の時間じゃなかったっけ──えぇ。こちらはOKですけど」 「どうかしたんですか?」  スタイリストさんと私が衣装ラックの前で話をしていると、別のスタッフさんが駆け寄って来た。  スタッフさんの耳打ちに、スタイリストさんは少し戸惑ったような顔をしたけれど、すぐに笑顔で首を縦に振った。それを確認したスタッフさんは、スマホ片手にバタバタと出入口の方向に走り去っていく。  ──なにかあったのかな?  周囲を見渡すと、スタッフさん達は揃ってザワザワしている。慌ただしく動き回り始めた人もいるし。女性スタッフさんが多いプレスルーム内がなんだか、色めき立っているのは気のせいかな。  もしかして……と、私がよからぬ妄想を繰り広げようとしたところで、スタイリストさんが「実はね」と、正解を教えてくれた。       「実はこの後の時間、ココロちゃんと入れ替わりで静琉くんとノアくんが衣装合わせだったんだけど…その。予定より早くこちらに着くって連絡があったみたいなの」  ココロちゃん、まだ迎えのマネージャーさん来てないし。迎えが来るまで、残っててもいいからね。よかったら、おふたりにも挨拶を──スタイリストさんはそう言うと、ニコニコと笑った。  えっ?! 待って、ちょっと待って。  ちょっといきなり、それは無理! 「な、なんてこった! ココロ死んだ、ハイしんだ……?」
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