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「初めまして、Dazzlingの──」
「こんにちは、この度はよろしくお願いします」
スタッフさん達に取り囲まれている、頭ひとつ分ぐらい背の高い、明るい髪の男の人と。そして、その横にもうひとり黒髪の…。
顔は見えなくても、わかるオーラ。
その周囲だけ、キラキラしたエフェクトでもかかっているみたい。
──うわぁ、ホンモノだ!
一応、私は一緒に仕事をする立場なんだが? なんとかして心を落ち着かせようと、そう言い聞かせたけれど、効果なんてあるわけない。
「昼にこちらに到着したばかりなのに、申し訳ないです」
「いえいえ、慣れてますから全然」
「日本と韓国は時差もないですし」
笑い声に包まれた和やかな雰囲気の中「奥へどうぞ」って。スタッフさんにそう言われ、先導された彼らがこちらへ向かって歩いてくるのが見えた。
ひときわ長身の、ピンクがかったミルクティー色の髪。
かけていたサングラスを外すと、彫りの深い目元があらわになる。
そこから覗くのは、明るいヘーゼルの瞳。
彼の名前は、北嶋ノア。
Dazzlingのファンなら、誰だって知っている。
そしてその隣を歩くのは、ノアより少し背は低いけれど──アイドルの名に恥じない、小さな顔と長い手足の持ち主。
元の黒っぽい髪色を生かした、ナチュラルなヘアスタイル。
涼しげな目元と歩く度に揺れる前髪から覗く、キリッとした眉。
そして、スッと通った鼻筋。薄い唇は弧を描き、時折微笑んでいる。
──あぁ、やっぱり。変わってない
彼の名前は、藤崎静琉。
胸の奥にずっとしまっていた、初恋の人。
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